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  • 千房社長・中井政嗣の相談室「悩んだらあきません!」 厳選記事2013年1月号

    千房社長 中井政嗣の相談室「悩んだらあきません!」 【Q.】人気メニューをつくりたい

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【 Q.人気メニューをつくりたい 】
創作和食の店舗で新メニューに挑戦するのですが、どうにもうまくいきません。
手を変え品を変え、いろいろなアイデアを実践してきました。味や見た目も、決して悪くないと思います。定番化して、お客様に楽しみにしてもらえるようなメニューをつくるには、どんな工夫が必要でしょうか。


●飲食業 Nさん(32歳/男性) 創業=2010年 年商=3,000万円
     従業員=3名 本社=神戸市中央区

【 A.試食会を実施しましょう 】

誤解を恐れずに言いますと、千房の近所に他のお好み焼きチェーンさんが出店したとしても、それほど脅威(きょうい)には感じないと思います。ある程度、相手の「手の内」が読めるからです。むしろ、お好み焼きの仲間が増えるのは歓迎すべきことで、互いに競い合えば相乗効果も期待できるでしょう。

一方、いわゆる独立系のお店の場合、私は気を引き締めます。どのような強みをもっているか、わからないからです。そういうお店には、チェーン店のような看板(知名度)はありませんが、チェーン店にはない自由がある。オーナーさえ許せば、「今日は豚肉多めに入れときます」というサービスができるんですね。お客様の好みに応じて、「ネギ抜いときましょか」という配慮もできる。それは千房でも可能なのですが、当然ながら、オーナーと従業員では裁量の幅に大きな差があります。

また、チェーン店では従業員の顔ぶれが変わりますが、独立系のお店ではいつも同じ顔が迎えてくれる。すると、お客様は安心できます。ちょっとした会話にも、お客様に合わせた気遣いや小さな心配りが感じられるからです。

商品やサービス、あるいは会話でも、お客様に喜ばれるのは「あなただけよ」という特別感です。それによって、お客様は自分がお店から大切にされていると実感できる。そうした接客はチェーン店でも不可能ではありませんが、独立系のお店にはかないません。そのあたりにこそ、チェーン店ではないお店の強みと醍醐味があるのではないでしょうか。

Nさんのお店は、おそらく家族経営でしょう。月商は250万円ですから、常連のお客様が中心だと思います。「あなただけよ」が実践できているか、ぜひ確認してみてください。

そのうえで、メニューそのものについて考えますと、いくら斬新なメニューでも、どれほどNさんの自信作でも、それがお客様の好評を獲得できないなら、理由ははっきりしています。失礼ながら、Nさんの工夫やアイデアが、お客様には受け入れられていないのです。想像するに、Nさんは経験豊富な料理人で、決して低くない調理技術をおもちなのでしょう。おそらく、料理に対する独自のこだわりもあるはずです。

ところが、優秀であるがゆえに、技術に溺(おぼ)れてしまったとは言えないでしょうか。プロとしての意識が強すぎて、素人への配慮を欠いた面はなかったでしょうか。われわれ料理人にとって、メニューへのこだわりは大切ですが、それはお客様の支持があって初めて活かされます。それを欠いたこだわりは、残念ながら、「独りよがり」でしかありません。Nさんの創作料理を独りよがりと断じるつもりはありませんが、その点は謙虚に受け止めるべきだと思います。

部外者の意見を聞くべきです

自分のこだわりやアイデアに対するお客様の評価を知るには、客観的で、率直な声を聞くことです。そういう意味で、メニューシンポジウムを実施してはいかがでしょうか。試食会ですね。その場で寄せられた声を判断材料にすれば、お客様の反響も、ある程度は予想されると思います。

千房でも、もうずいぶん前から実践してきました。メニューの開発者や料理長など、毎回、10数名が参加して、年に2回以上、開催しています。とはいえ、そこでの評価はなかなか厳しくて、たとえ高い評価を得ても、いきなり全店舗でのメニューに加わる例は稀(まれ)です。まずは季節や地域の限定メニューとして、店頭でのPOPで紹介し、お客様に評価していただくようにしています。

ちなみに、そういうなかから誕生したメニューに「オムそば」があります。いまではすっかり定番ですが、もともとは千房で従業員が「まかない」につくったメニューでした。ついでに言えば、お好み焼きをマヨネーズで美しくアートにしたのも、千房が提案したものです。

当然ですが、メニューシンポジウムでは忌憚(きたん)のない正直な感想を聞きたいと、うるさいほど念を押してください。そして、できれば部外者に加わってもらうこと。利害関係のない第三者の意見は貴重です。何より、そうすることでNさんのお店は活気づくに違いありません。組織を活性化させるのは、たいていの場合、「よそ者」なのですから。


なかい まさつぐ
1945年奈良県生まれ。中学卒業後、丁稚奉公に出る。73年大阪・ミナミにお好み焼き店「千房」を開店。86年大阪府立桃谷高等学校を卒業。現在、国内外に64店舗を展開する「千房」は、年商55億円、従業員824名、本社・大阪市浪速区。
著書に最新刊『それでええやんか!』のほか、『できるやんか!』がある。
●http://www.chibo.com/



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