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  • 闘うトップ2014年7月号

    母から受け継いだ妥協なき「本当の保育」を志す(株式会社コビーアンドアソシエイツ・社長 小林照男氏)

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都心での「待機児童」解消のため、各地で保育所が新設されている。
子供を預かってもらえるだけでもありがたいという風潮があるなか、小林社長は母から受け継いだ保育の理念を貫き、子供たちの将来を考えた質の高い保育を実践している。

2000年の規制緩和によって株式会社に認可保育所(※保育所は大きく、都道府県知事の認可を受けた「認可保育所」とそれ以外の「認可外保育所(園)」に分かれる。認可保育所には公費負担があり、親の収入によって保育料は変わる。)の運営が許されるようになり、教育産業など他業界からの進出が相次いだ。
保育所増設という国策を追い風に、急成長して上場を果たした企業もある。
小林照男社長が創業したコビーアンドアソシエイツも、そうした新興企業の1つだが、年季と筋金がまったく異なる。保育士の仕事に生涯を捧げた母・故小林典子氏の理想と理念が息づいているからだ。

               ◇ ◇ ◇

当社が運営する「コビープリスクール」では小さなことにも妥協を許さない「本当の保育」を実践しています。「本当の保育」とは、子供たちに「本物」に触れる機会を与え、「感動の体験」をさせることです。たとえば、園内には印刷されたポスターではなく本物の絵画を飾っていますし、食器も落とせば割れる陶器やガラス製を使っています。専属スタッフには元Jリーガーやダンスの先生もいて、鍛え抜いた技を園児に見せ、昼食は元一流ホテルのシェフなどプロが調理に当たります。

子供たちには、まがいものでなく本物だけを味わわせたいのです。するとそこに感動の体験が生まれ、同時に大切にすべきものを自然と理解するようになるのです。幼児期の体験は人格形成に大きく影響します。いい加減な教育をすると20年後、30年後の国力にもかかわってくる。そのくらいの意識をもって保育所を運営しています。

だから保育士にも「子供にはこの程度でいいだろう」といった妥協は一切許さず、常にプロフェッショナルの意識をもって本気で接することを求めます。このことは、保育士の真のプロフェッショナルであった母の教えでもあるのです。

母は私が生まれる前から、実家のお寺が運営する保育所で保育士をしていました。姉や私もその保育所に入り、卒園してからも運動会の手伝いなどにかり出されました。中学生のときに母が独立して自宅で保育所を始めてからは、私の部屋に園児が遊びにくるくらい、プライベートに保育が完全に入り込んでいた。

ただ、思春期をそうした環境で過ごしたせいか、反発心が出て保育の仕事なんか絶対にしないぞと思っていました。そのため高校卒業後は、アメリカに留学して米国公認会計士をめざした。将来は起業したいという夢もありました。

ところが、卒業間近の95年、現地の監査法人から内定をもらい、母に報告をした翌日、就職せずにすぐに日本に戻ってこいと命令されたのです。サラリーマンだった父の病気が理由でしたが、「誰がいままであなたの学費を出したと思っているの」と有無を言わせない口調で、結婚したばかりの妻ともども、泣く泣くアメリカの家を引き払いました。



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