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  • 闘うトップ2013年4月号

    ケアシューズ「あゆみ」でお年寄りの歩行を助けたい(徳武産業株式会社・社長 十河孝男氏)

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振り返ってみると、私がいままで経営者としてどうにかやってこれたのは、自分の驕(おご)りとかうぬぼれに気づく機会をいただいたからだと思います。先代の3回忌の法要を終えたときでした。思い切って、菩提寺のご住職に悩んでいることを話してみたんです。
義父の跡を継いでからの2年間、何をやってもうまくいきませんでした。お恥ずかしい話ですが、従業員とは険悪になるし、義母とも意見が対立する。当然、売 上も伸びません。包み隠さず話しますと、ご住職も「実は、前からあんたに言おうか言うまいか迷ってたんやが・・・」とおっしゃる。私だけが悩んでいるよう でいて、周囲のみなさんに心配をかけていたんですね。
「先代を追い越したいという気負いはわかるが、それでは先代と争っているのと同じや。それより、あんたがそうして先代と競えるだけの基盤があることに感謝すべきやないか。先代は、あんたがやりやすいようにと、命を削ってお膳立てをしてくれたんやから」
そう言われて、心から恥じ入るばかりでした。以来、気持ちを入れ替えて、生まれ変わったつもりで態度もあらためました。すると、ありがたいことに社内の雰 囲気もだんだんなごやかに変わってきた。いま思えば、それでようやく「あゆみ」が誕生する地ならしができたのかもしれません。

気持ちを込めればモノに命が吹き込まれる

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▲「あゆみ」シリーズ中、最も売れ筋の「ダブルマジックⅡ雅」。価格は、両足5880円(片足3045円)。女性からの人気が高い

「あゆみ」シリーズには、すべての商品に「まごころはがき」と返信用のアンケートはがきが同封されている。
「まごころはがき」は従業員から購入者に宛てた感謝のはがきで、「あなた様のその一歩を足もとから優しくお守りし続けたいと思っています」など、従業員がそれぞれに考えた言葉とともに、所属部署、氏名まで、すべて手書きで記されている。
対して、顧客から徳武産業には毎年、2000~3000通の礼状が届く。これまでに届いた礼状の数は、軽く2万通を超える。また、商品に同封されたアンケートはがきの返信率も高く、商品への評価や要望が記された返信は、年間3万通以上に達する。
さらに、アンケートはがきの返信者には徳武産業から誕生日にメッセージカードとプレゼントが、その年だけでなく翌年にも贈られる。その数は、毎月、2000件を超えるという。



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『実践 経営実学 大全』
(株)名南経営コンサルティング
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