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  • 闘うトップ2014年3月号

    デジタルと熟練職人の直感を融合 精密加工で次世代製造業の最先端をゆく(株式会社入曽精密・社長 斉藤清和氏)

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精密度99.9999999%。振れば、ほぼ数学上の確率どおり6分の1ずつ目が出る「世界一フェアなサイコロ」など、世間をアッと言わせるモノづくりを手がけてきた斉藤社長。
3次元CAD/CAMとMC(マシニングセンタ)を駆使した独自のMC造形システムがその超精密加工を可能にした。

「アルミのバラ」を初めて展示会に出したとき、ほとんどの人はその前を素通りした。よくできてはいるが、どうせアルミ箔をくっつけてつくったオブジェだろうと思ったようだ。

ごく稀(まれ)に、足を止める人がいた。大学教授や大手企業の技術者に多かった。花びらや葉脈(ようみゃく)まで精巧に再現されたバラを様々な角度から食い入るように眺め、最後は信じられないという顔付きになった。バラには接着面などどこにもなく、1個の金属の塊(かたまり)から削り出されたものだったからだ。時は2001年。3次元CAD/CAMがようやく世間に知られるようになったころの話である。

大学教授や大手企業の技術者を驚嘆させたこの「アルミのバラ」の製作者は、入曽(いりそ)精密の斉藤清和社長(55歳)である。バラには日本一の加工屋をめざす斉藤社長の思いが込められていた。

いまでいうフリーター生活を送っていた斉藤社長が、「家の仕事を手伝え」と父(斉藤清八現会長)に言われ同社に入社したのは1983年、25歳のときだった。

               ◇ ◇ ◇

当社は研磨職人だった父が起こした会社ですが、当時は発注先から持ち込まれた鋼板に穴を開けたり少し研磨して納入する典型的な町工場でした。孫請けどころか玄孫請(やしゃご)け(四次下請け)で、工賃が安く仕事量も安定していなかった。そんなある日、手持ちぶさたのパートさんたちが「最近仕事減ったねぇ。今月は給料出るのかね」と浮かない顔で話し合っている姿を見たのです。社長の息子として責任を感じると同時に、会社に技術がないことを思い知らされました。技術がないから、どこでもやれる単価の安い仕事しか回ってこない。社員やパートさんたちにそんな心配をさせるような会社であってはいけない。それには、ともかく技術力を高めなければならないと思い、まずベテランの職人さんについて徹底的に機械の操作を身に付けました。

そうしてしばらくすると、父が私専用として、これまでより高度な加工ができる成形研磨機を購入したのです。父も技術力を高めたいと思っていたのですが、社員が高齢化して新しい機械を使いこなせる人材がいなかったのですね。私がこの機械を使うようになったことで、取引先からくる仕事が少しずつ付加価値の高いものに変わっていきました。



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