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  • 組織のつくり方2014年8月

    独立自尊の道を一枚岩の組織で歩む 中小企業だからこそ強い!(タビオ株式会社・社長 越智直正氏)

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中小企業においては軌道修正も早いom_1408_3

おかげさまで、タビオはことし創業から47年目を迎えますが、私はその間、ただの一瞬といえども、規模の拡大を目標としたことはありませんでした。よいのか悪いのか、私の心情は創業直後からほとんど変わっておらず、つい先日も会社から「涼しい服装でよい」といわれたので、ランニングシャツとステテコで出社しようとしたくらいです。「クールビズ」というやつです。

また、私は毎朝3時に起床して、7時前には出社しますが、これは社員の誰よりも早い。中小企業というより、典型的な零細企業の親父といったほうがよいかもしれません。

もっとも、2000年に大証二部(現東証二部)に上場していますが、これももちろん、ステイタスを得るためではありません。われわれが展開する小売店を「靴下屋」と名づけ、僭越(せんえつ)にも業界の名称を冠してしまった以上、株式を上場して靴下業界の社会的な地位の向上に少しでも役立たなければいけない、と考えたからでした。

とはいえ、恥ずかしながら、そうした私の真意は社内に伝わりませんでした。上場した直後の一時期、一流企業の仲間入りができたとでも思ったのか、社内に生じたある種の高揚感によって、様々な弊害が現われたのです。部署にとらわれない風通しのよさとか、未知の世界にも挑戦する積極性といった中小企業らしさを失いかけたのです。

私がそうした変化に気づいたのは、定例の会議に顔を出していたときです。なぜかはわからないけれど、どこか様子がおかしい。ふと感じたのは、出席者たちに発言をためらうような雰囲気が漂っていることでした。そう思い当たり、あらためて会議の様子を振り返ってみると、以前は積極的に発言していた社員がおとなしくなっている。発言内容を吟味するための慎重さであればよいのですが、言葉を選んで発言しているとは思えませんでした。おそらく、責任を回避したいという消極的な姿勢が、発言をためらわせていたのでしょう。

会議に現われた変化そのものは小さなものですが、一事が万事というべきか、私の目が届かない場面でも、大小の弊害は様々に現われていたはずです。私は株式の上場を新たなスタートととらえていましたが、それをゴールと考えて安心してしまったのでしょう。新商品開発に積極的な攻めの姿勢が失われたり、部門間でいわゆるセクショナリズムが生じたりして、結果的に業績が大きく落ち込んでしまいました。

幸い、そもそも実態は零細企業ですから、上場によって大企業になったという夢もすぐに覚めて、業績は間もなく立ち直りました。もちろん、彼らが自動的に目覚めたわけではなく、零細企業の親父が愛情を込めて投げかけた数々の叱咤激励(しったげきれい)が効果を発揮したことは、言うまでもありません。比較的、スムーズに軌道修正ができるのも、中小企業ならではの利点でしょう。



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