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  • 身心の整え方2013年7月号

    40代~50代が発症のピーク!“大人ぜんそく”にご用心(佐野虎ノ門クリニック院長 佐野靖之氏)

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リスク要因を日常から減らす

食品添加物、車の排気ガスや工場の排煙、住宅建材や塗料・接着剤など、私たちの身のまわりには、以前にはなかった、ぜんそくの原因となりうる物質があふれている。そのため、大人になって発症する人が、過去30年で3倍に増加した。
「喫煙者をはじめ、排気ガスや粉塵(ふんじん)など日常的に空気汚染にさらされた環境で仕事に従事している人の発症率は高く、その場合は肺気腫(はいきしゅ)などの併発による重症化もみられます。また、男女を問わず、重い荷物を運ぶような肉体労働が多い職種や、徹夜が続くような長時間勤務が多い職場の方も注意が必要です」
過労は発作を起こす主原因の1つ。たとえば、家事や育児、仕事の両立で多忙を極める30~40代の女性の場合、疲れが蓄積して発作を引き起こし、重症化した例もあったという。
「ぜんそくの兆候があるならば、『そのうち治るだろう』『風邪が長引いている』などと後回しにせず、早めに検査・治療を受けたほうがいいですね。なかでも、咳ぜんそくは、市販の咳止めを服用しても効果がありません。専門医の診察を受けて、1~2か月治療を根気よく続ければ治りますので、症状が軽いうちに対処することです」

抑えるのではなく発作を起こさない治療

佐野虎ノ門クリニックの場合、初診は問診から始まり、「気道過敏性テスト」「肺機能検査」「胸部X線検査」「血液検査」「皮膚反応テスト」「喀痰(かくたん)検査」など様々な検査を通して診断を下している(年齢や症状によって検査の組み合わせは異なる)。
「診察をする日中は、患者さんの症状が鎮まっていることが多いので、正しい診断を下すためにも、『どんなときに苦しくなったのか』『夜は眠れているのか』など詳しい話をお聞きします。一般に、急に気温が下がったり台風が多いなど季節の変わり目は症状が出やすく、暑い夏は少ないと言われていますが、生活環境や仕事の内容、服用している薬などに危険因子があることもあります。自分の状態を客観的に把握するには、ふだんから天気や体調など日々の変化を記録する『ぜんそく日記』をつけておくといいでしょう」
ぜんそくの発作が急に起きたときは、一時的に気道を広げて息をしやすくする応急処置が行なわれるが、最近は、治療自体、発作を抑えるのではなく、「気道の炎症を鎮めて発作が起きないようにする」方法へと変化しているという。
「ぜんそく治療に用いられるのは、おもに吸入ステロイド薬、吸入β2(ベータツー)刺激薬に代表される気管支拡張薬、抗アレルギー薬などです。ステロイドというだけで不安になる方もいますが、内服ステロイド薬とは違い、肺局所に作用し、万一血中に入っても99%分解されてしまいますので、全身性の副作用の心配はほとんどありません。効果が現われるまでに数日はかかりますが、ぜんそくの症状の改善と発作の予防に効果を上げています。一方、吸入β2刺激薬は即効性がある分、気管支への影響が大きいため、単独で頻用するのは禁物です」
ぜんそくは、きちんと対処すれば、こわい病気ではない。自分の体質を知って、リスクを減らすことから始めよう。



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(株)名南経営コンサルティング
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