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    『切腹最中』(1994年発売/東京都港区)

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『切腹最中』
ことしで創業100 年を迎えた老舗和菓子店・新正堂。
「忠臣蔵」として語り継がれる四十七士が討ち入りした12月14日になると、毎年行列ができる店としても有名だ。
なかでも『切腹最中』は東京土産のロングセラーとなっている。

12月14日--毎年この日になると、長い長い行列ができる和菓子店がある。元禄15年、江戸本所松坂町の吉良上野介義央(きらこうずけのすけよしなか)の屋敷に討ち入りした元播州赤穂藩の四十七士の殿様・浅野内匠頭(あさのたくみのかみ)が切腹させられた田村右京太夫の屋敷跡、そこに店を構える新正堂(しんしょうどう)だ。

客の目当ては看板商品の『切腹最中』。日本人の多くが、この名の意味を理解するに違いない。蛤(はまぐり)のようにぱっくりと上下に割れた最中に、たっぷりと粒餡(つぶあん)が詰められた光景はまさに切腹そのもの。それでいて、おどろおどろしくない、どこか愛嬌が感じられる不思議な魅力を持ち合わせている。この『切腹最中』が生まれたのは18年前。新正堂三代目にあたる渡辺仁久(よしひさ)社長(59歳)は振り返る。

「当時は生菓子を中心に扱っていたので、日持ちのする商品を作ろうと、最中の開発を思い立ったのです。討ち入りにちなんだネーミングをいろいろ考えたんですが、どれもピンとこない。あるとき、閃(ひらめ)いたのが『切腹最中』でした。しかし、家族は大反対で…(苦笑)、2年半かけて説得し、なんとか発売に漕ぎ着けました。私の中では、切腹は梅の花のイメージだったので最中は梅の花型にし、義士の鉢巻きを模して子どものお習字の半紙を切って巻いてみました。周りの評判が散々だったので、あまり売れないだろうとコストをかけなかったんです」

渡辺社長の周囲で『切腹最中』のネーミングを面白いと評したのは、つきあいのあるデザイナーだけ。「こんな名前の和菓子が売れるはずがない」--反対意見が圧倒的多数を占めるなか、ほぼ孤立無援の状態で船出した『切腹最中』は、周囲の予想に反して大ブレイクし、新正堂の売上の7割を占める看板商品に成長していくのである。



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