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  • 事業再生2012年8月号

    ハウステンボス再生への軌跡(ハウステンボス株式会社・社長 澤田秀雄氏)

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開園以来18年間、赤字続きだったテーマパーク「ハウステンボス」。だが大手旅行会社エイチ・アイ・エスが2010年3月に買収すると、翌期に経常黒字を計上する奇跡的な再生を果たした。改革を主導したエイチ・アイ・エス創業者・澤田秀雄氏へのインタビューをメインに再生までの道のりを追い、企業改革のヒントを示す。

【 澤田秀雄氏に訊く “大方針”を定めて徹底し社員のマインドを立て直す 】
取材・構成 戦国マーケティング代表 福永雅文

---どういった経緯でハウステンボス(以下、HTB)の再建をお引き受けになっ たのでしょうか。

知人を介して打診されたのですが、当初は断りました。テーマパークが成立する条件は3つあるといわれています。それは「商圏規模」「アクセス」「ブランド」です。3条件を満たしていないから赤字が続いていたのです。
長崎県の佐世保の商圏は首都圏の20分の1です。アクセスは福岡からは車で2間、長崎空港からはバスで1時間。遠いし、便数も少ない。知名度はそこそこありますが、敷地面積が152万㎡と国内最大です。ディズニーランドとシーを足し た大きさに匹敵します。維持コストがか かり過ぎるのです。これでは成り立ちませんので、集客の協力はしますが、経営はお引き受けできないとお断りしました。

新たな夢を描き 全社員と共有する

---三重苦のHTBをそれでもお引き受 けになったのは?

1つには佐世保市長さんたち地元の方の熱意です。私が断れば廃業になる可能性が高かった。地元の雇用、観光、経済がダメになるとのことで3度も頼まれました。また、観光業に携わる者としてHTBが廃墟になるのはしのびない。そして、難しい仕事だからこそ挑戦してみたいと、高い山があれば登りたくなってしまうベンチャースピリットが湧(わ)き上がってきたのです(笑)。

---その高い山をどのように登ろうと思われたのでしょう。

HTBはオランダの街並みを再現したテーマパークです。街並みは本家オランダよりも美しいものですが、オランダそのものではありませんからオランダにはかないません。それでも海外旅行に行くことが特別だった時代には国内でオランダ気分が味わえるという意味がありました。ところがいまは気軽にオランダに行ける時代です。たとえばエイチ・アイ・エスを利用すれば。HTBの歴史的役割は終わりつつあると思いました。
では、HTBとは何か。花と緑と水に囲まれたクラシックな美しい街並み、それがHTBで、テーマパークというより都市です。都市機能を充実させれば東洋一美しい観光ビジネス都市になるのではないかという夢が浮かんできたのです。

---観光ビジネス都市とはどのようなものですか。

遊園地的な要素だけではなく、たとえば教育観光、医療観光、ショッピング、ビジネスのコンベンションなどの都市の要素を併せ持つ場所です。外観はクラシックで自然に溢(あふ)れている。しかし、中身は最先端のスマートシティ(次世代環境 都市)といった未来都市にできたら面白いではないですか。HTBには宿泊施設もあれば居住地もあります。もともと都市機能があるのです。
また、HTBは東京からは遠い。しかし上海やソウルからは近い。成長著しいアジアを商圏にできる立地です。そんな思いを東洋一美しい観光ビジネス都市という新たなコンセプトに託したのです。



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