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  • 闘うトップ2014年5月号

    「おもろいタクシー」で人と街とを繋ぐ担い手になる(近畿タクシー株式会社・社長 森﨑清登氏)

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現実を知り失意にあった90年、英国で走る独特のスタイルのロンドンタクシーが日本に輸入されるという記事を新聞で読む。一目見て、神戸の街並みにぴったりだと思った。この車を走らせたら、何かが変わるかもしれないという予感がした。だが1台900万円、普通のタクシー6台分の車を一存では購入できない。そこで、今後自社が柱とすべき事業を「観光と福祉」という企画書にまとめあげ、社長室の戸を叩いた。そこにロンドンタクシーの導入を盛り込んだ。

               ◇ ◇ ◇

義父からは「絶対失敗する。1年でお前の自家用になるぞ」と諭(さと)されました。タクシー会社は細く長く続けていくことが肝心で、新しいことをやった会社は皆潰れていくというのです。というのも、タクシー運賃の原価にはもともと販促費や開発費が考えられていない。新しいことに取り組むと、その分がまるまる赤字になる構造だったんです。

「いまのタクシー業界は泥沼の中にあって何の光もない。それでは将来がない」と食い下がりました。事業をらせん階段にたとえて、「ひとところに留まっているんじゃなくて、たとえ少しでも上に向かって歩いたら何かが発見できるはずです」とも言った。実際、そのまま跡を継いでも長くやっていく自信がありませんでしたから必死でした。私が毎日、いまにも辞めると言い出しそうな暗い顔で出社していたことを知っていた義父は、最後には納得してくれました。



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